商品写真の色調補正 商品写真の色を、実際の商品の色と同じ色になるよう合わせ込む、シビアな商品写真のレタッチを扱っております。 こういった作業は、一般的な写真の演出のようにクリエイティブな作業とは別の、色を理屈に沿って機械的に扱う技能が必要になります。 一般のPhotoshopユーザーに依頼してもうまくいかないような場合、当事務所へご相談ください。 色が重要な要素となる商品 様々な商品の中でも、複数のカラーバリエーションがあるなど、色が極めて重要な要素となる商品もあります。 そういった商品の場合、商品写真と実際の商品の色の差が顧客満足を下げてしまうようなケースも起こり得るのではないでしょうか。 商品写真の色を実物の色に合わせる作業 おおまかな流れ 商品写真の色を事物の色に合わせる作業は、おおまかに以下のような流れで行います。 環境光の基準を決める。 色を測定する。色を観察する。 測定・観察した色と同じ色になるよう画像データを補正する。 デバイスに依存しない絶対的色表現により画像データを完成させる。 ウェブ、特定のモバイル機器、オフセット印刷など、最終出力条件に合わせて色を変換し、納品。 各作業のご紹介 環境光の基準を決める 同じ商品でも、晴れている昼間に見る場合、朝方に見る場合、夕方に見る場合、事務所内で見る場合、など、環境光の条件次第で色は変わります。 そのため、お客様に商品の色を伝えるためには、環境光の基準を一つに決める必要があります。 そして、「こういう光の中でこの商品を見た場合、こういう色に見えます」と伝えることで、正確に色を伝えることができます。 好ましい環境光の基準 環境光の基準を考えるとき、主に色温度、演色性、明るさ、について考えます。 演色性 演色性は、単純に言うと基準に決めた光にどれだけ近い光か、を表すものです。 たいていは太陽の光を基準にします。 平均演色評価数Raという数値をよく使います。 太陽の光はRa100です。一方、体育館の照明や街灯など物の色が正確に判断しにくい光はRaがかなり低い光です。 商品の色を見る基準としては、Ra95以上の光のもとで見るようにするのが望ましいです。 色温度 色温度は、単純に言いますと光の色を表すようなイメージの数値です。 同じ太陽光でも、夕方と朝方と日中では光の色が違うのはみなさん経験でご存知だと思います。それが色温度の違いです。 商品の色を見る基準としては、5000Kか6500Kのいずれかを使うのが一般的です。 晴れている日中の屋外で見る色が最も代表的な色と考えれば、5000Kを基準とするのが望ましいです。 明るさ 同じ環境光の下で同じ商品を見ても、明るさが異なると色が違って見えます。 そこで、明るさの基準もある程度決めておきます。 多くの場合、400〜1000lxの間くらいのどこかに決めるのが好ましいことが多いです。 色を測定する。色を観察する。 色温度5000K 平均演色評価数Ra95以上の照明下で観察 当事務所では、色温度5000K、平均演色評価数Ra95以上の照明下で商品を観察します。 場合によっては、測色計で色の測定も行います。 測色結果と目視で色を確認 半透明な商品など、単純に測色値だけで作業を進めるわけにいかないようなものもあります。 また、明るさによっても色が違って見えます。 そのため、測色値だけに頼らず、目視でも色を確認し、商品の色を捉えます。 画像データの色を補正 基準の環境光の下で確認した商品の色に合わせて、商品写真の画像データの色を補正します。 補正する際、画像データの色はデバイスに依存しない絶対的な色表現になっています。 カラーバリエーションの写真などは、同一の背景で撮影されることが多いと思います。 そのため、同一背景で商品の色のみ異なる場合は、商品の色のみ補正を加え、背景の色がまちまちにならないようマスク処理して作業します。 デバイスに依存しない絶対的色表現で画像データを完成 デバイスに依存しない絶対的色表現によって商品の色と合わせた画像データを完成させて、保存します。 具体的には、例えばAdobeRGBカラープロファイルを埋め込んだTIF画像などで保存します。この画像はカラープロファイルとRGB値の組み合わせにより、絶対的な色表現になっています。 ウェブ、特定のモバイル機器、オフセット印刷など、最終出力条件に合わせて色を変換し、納品 ウェブサイト用、ウェブサイトでも特に特定のモバイル機器の表示に最適化、オフセット印刷用、など、最終出力条件に合わせて、絶対的色表現の画像データを色変換して納品します。 後日、複数のデバイスで使用したいという場合でしたら、AdobeRGB埋め込み状態の画像データをお納めします。 商品写真を見るお客様への説明 商品の観察条件を明確に決めておくことで、商品写真をご覧になるお客様への対応等において、あいまいではなく論理的な一貫した説明をすることができ、お客様の納得が得られやすくなります。 例えば、「この商品写真は、昼白色の照明で、500lxの明るさの下で見た色になっています。」と説明します。 もし商品実物と違って見える場合、商品をご覧になっているお客様の部屋の照明が原因で若干色に差が出ていることを納得してもらうことで、理解が得られやすくなります。