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商品写真の色を、商品の実物の色と合わせる作業の手順

投稿日:2017年5月9日 更新日:

 商品写真の色を、実際の商品の色と同じ色になるよう合わせ込みたいケースは結構多いのではないでしょうか。

 こういった作業は、一般的な写真の演出のようにクリエイティブな作業とは別の、色を理屈に沿って機械的に扱う技能が必要になります。

 ここでは、商品写真の色を、商品の実物の色と合わせるための手順の一例をご紹介します。

色が重要な要素となる商品

 様々な商品の中でも、複数のカラーバリエーションがあるなど、色が極めて重要な要素となる商品もあります。

 そういった商品の場合、商品写真と実際の商品の色の差が顧客満足を下げてしまうようなケースも起こり得るのではないでしょうか。

商品写真の色を実物の色に合わせる作業 おおまかな流れ

 商品写真の色を事物の色に合わせる作業は、おおまかに以下のような流れで行います。

  1. 環境光の基準を決める。
  2. 色を測定する。色を観察する。
  3. 測定・観察した色と同じ色になるよう画像データを補正する。
  4. デバイスに依存しない絶対的色表現により画像データを完成させる。
  5. ウェブ、特定のモバイル機器、オフセット印刷など、最終出力条件に合わせて色を変換し、使う。

商品写真の色を実物の色に合わせる、具体的な手順の一例

環境光の基準を決める

 同じ商品でも、晴れている昼間に見る場合、朝方に見る場合、夕方に見る場合、事務所内で見る場合、など、環境光の条件次第で色は変わります。

 そのため、お客様に商品の色を伝えるためには、環境光の基準を一つに決める必要があります。

 そして、「こういう光の中でこの商品を見た場合、こういう色に見えます」と伝えることで、正確に色を伝えることができます。

好ましい環境光の基準

 環境光の基準を考えるとき、主に色温度演色性明るさ、などについて考えます。

演色性

 演色性は、単純に言うと基準に決めた光にどれだけ近い光か、を表すものです。
 たいていは太陽の光を基準にします。

 平均演色評価数Raという数値をよく使います。

 太陽の光を基準にすれば、太陽の光はRa100です。一方、体育館の照明や街灯など物の色が正確に判断しにくい光はRaがかなり低い光です。

 商品の色を見る基準としては、Ra95以上の光のもとで見るようにするのが望ましいです。

色温度

 色温度は、単純に言いますと光の色を表すようなイメージの数値です。

 同じ太陽光でも、夕方と朝方と日中では光の色が違うのはみなさん経験でご存知だと思います。それが色温度の違いです。

 商品の色を見る基準としては、5000K6500Kのいずれかを使うのが一般的です。

 晴れている日中の屋外で見る色が最も代表的な色と考えれば、5000Kを基準とするのが望ましいです。

明るさ

 同じ環境光の下で同じ商品を見ても、明るさが異なると色が違って見えます

 そこで、明るさの基準もある程度決めておきます。

 多くの場合、400〜1000lxの間くらいのどこかに決めるのが好ましいと思われます。

色を測定する。色を観察する。

色温度5000K 平均演色評価数Ra95以上の照明下で観察

 例えば、色温度5000K平均演色評価数Ra95以上の照明下で商品を観察します。

 色が測定できる商品なら、測色計で色の測定も行います。

測色結果と目視で色を確認

 半透明な商品など、単純に測色値だけで作業を進めるわけにいかないようなものもあります。

 また、明るさによっても色が違って見えます。

 そのため、測色値だけに頼らず、目視でも色を確認し、商品の色を捉えます。

画像データの色を補正

 基準の環境光の下で確認した商品の色に合わせて、商品写真の画像データの色を補正します。

 補正する際、画像データの色はデバイスに依存しない絶対的な色表現になっています。

 カラーバリエーションの写真などは、同一の背景で撮影されることが多いと思います。

 そのため、同一背景で商品の色のみ異なる場合は、商品の色のみ補正を加え、背景の色がまちまちにならないようマスク処理して作業します。

デバイスに依存しない絶対的色表現で画像データを完成

 デバイスに依存しない絶対的色表現によって商品の色と合わせた画像データを完成させて、保存します。

 具体的には、例えばAdobeRGBカラープロファイルを埋め込んだTIF画像などで保存します。この画像はカラープロファイルとRGB値の組み合わせにより、絶対的な色表現になっています。

ウェブ、特定のモバイル機器、オフセット印刷など、最終出力条件に合わせて色を変換

 ウェブサイト用、ウェブサイトでも特に特定のモバイル機器の表示に最適化、オフセット印刷用、など、最終出力条件に合わせて、絶対的色表現の画像データを変換し、RGB値やCMYK値を確定させます。

 AdobeRGB埋め込み状態の画像データを保管しておけば、後日、複数のデバイスで使用したいという場合はその都度画像データを変換して使います。

商品写真を見るお客様への説明

 商品観察条件を明確に決めておくことで、商品写真をご覧になるお客様への対応等において、あいまいではなく論理的な一貫した説明をすることができ、お客様の納得が得られやすくなります。

 例えば、「この商品写真は、昼白色の照明で、500lxの明るさの下で見た色になっています。」といった具合に説明します。

 もし商品の実物と違って見える場合、商品をご覧になっているお客様の部屋の照明が原因で若干色に差が出ていることを納得してもらうことで、理解が得られやすくなります。

ネット通販等のウェブ上で使用する商品写真にも有効

 ウェブ上で使用する商品写真は、閲覧する方のモニターの環境によって色が変わりますので、シビアな色の合わせ込みは意味がないと思われがちかもしれません。

 しかし、モバイル機器であれパソコンであれ、ディスプレイの表示の基準としてsRGBという色空間があります。
 sRGBは国際的な標準色空間です。ウェブサイトが表示されるときの色空間として想定するとしたら現在のところsRGBが唯一のもので、ウェブサイトに掲載する写真をsRGB色空間を想定して作成すれば一般的に理解は得られやすいです。
 また、写真のデータにsRGBプロファイルを埋め込んでおけば、画像データ自体にデバイスに依存しない絶対的な色彩値を持たせることができます。

 でもあるので、あてずっぽうではなく、明確な数値管理で写真を作成していることが説明できれば、お客様の理解を得られ、スムーズな取引が行える可能性が高まります。

 色の明確な基準を決めてあり、理由が論理的に説明できるか、あるいは基準があいまいで論理的な説明ができないか、の違いによってお客様とのやり取りがまったく違ってきてしまうという場面は、オフセット印刷における色校正でも多く見られます。

オフセット印刷にも使用可能

 色を合わせ込んだ写真のデータは、オフセット印刷にも使用可能です。

 完成した商品写真データは、相対的ではなく絶対的な色彩値が決定しています。よって、色に関して正確な理解をしている印刷会社に写真データを入稿し、色は合わせ済みなのでデータの色のまま印刷するよう依頼すれば、合わせた色のまま印刷ができます。

 この作業は印刷会社の色の理解のレベルによっては「できない」と返答されることもありえますので、印刷会社の選択に気をつける必要があります。

商品写真の色を合わせる作業を内製化できない場合

 以上ご紹介したような作業を内製化するのが難しい場合もあるかもしれません。

 当事務所で商品写真の色を実物に合わせる作業をお受けしています。
 発注のご予定がなくても、ご相談だけでもいただけると幸いです。

 以上、商品写真の色を、商品の実物の色と合わせるための手順の一例をご紹介しました。

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