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モニターとプリンターの関係 白色点の色と輝度 カラーマッチングのヒントとして

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 モニターとプリンターのカラーマネジメントを手順どおりに行っても、カラーマッチングの精度が低いこともあります。
 カラーマッチングの精度を上げるには、プロファイルの適用以外に部屋の照明等いくつかの条件も考慮する必要があります。
 ここではカラーマッチングを行う際のヒントとして、モニターとプリンター出力の白色点の色と輝度の関係をおおまかにご説明します。

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白色点の色

モニターとプリンター出力物の白色点の色の関係

モニターの白色点の色

 モニターの白色点の色は、モニターで真っ白を表示したときの色です。

 モニターキャリブレーション作業で大幅に変更可能です。
 黄色っぽい白にしたり、青白い白にしたり、自由自在です。

 多くの場合、キャリブレーション時に白色点の色を5000K、6500K、D50、D65などで指定します。

プリンター出力の白色点の色

 プリンター出力の白色点は、プリンターの印刷結果の真っ白な部分の色です。
 よって、印刷に使う用紙の色ということになります。

 用紙の色は、用紙自体の色合いと、用紙を照らす照明の色、で決まります。

 青白い用紙なら青白い白色点、黄色っぽい用紙なら黄色っぽい白色点、ということになります。

 さらに、同じ用紙でも、青白い照明下で見れば用紙の白色点は青白い色、黄色っぽい照明下で見れば用紙の白色点は黄色っぽい色、になります。

用紙の色合い

 用紙の色合いは、用紙によって様々です。

 しようと思えば、測色計を使って自分で色を測定することで用紙の色を数値で表現できます。

照明の色

 照明の色は、多くの場合説明書やメーカーのサイトにある照明機器の仕様に載っています。

 昼光色、昼白色、昼光色(6500K)、昼光色(6700K)、昼白色(5000K)、色温度6500K、などの表記で載っています。

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輝度

モニターとプリンター出力物の輝度の関係

モニターの輝度

 モニターの輝度は、モニターで真っ白を表示した時の輝度です。

 キャリブレーション作業で大幅に調整可能です。

 写真やDTP作業ではたいてい80〜120cd/m2程度にします。

プリンター出力の輝度

 プリンター出力の輝度は、プリンターの印刷結果の真っ白な部分の輝度です。

 用紙を照らす照明の明るさ、照明から用紙までの距離、用紙の反射率、などで決まります。

プリンター出力の明るさは部屋の明るさで決まる

 モニターの明るさはモニターの調整とディスプレイプロファイルで調整しますが、プリンターの印刷結果の明るさはプリンタープロファイルでは変えられません。

 プリンタープロファイルに関係なく、プリンター出力を明るい部屋で見れば明るく見え、暗い部屋で見れば暗く見える、ということになります。

500ルクス前後の場所で見ると無難

 たいていの場合、プリンター出力物を500ルクス前後の明るさの場所で見ると、輝度80〜120cd/m2のモニターと近い明るさに見えます。

 一般的な部屋の天井照明の下では500ルクス近辺になっている場合が多いと思われます。
(もちろん照明の明るさは色々なので、とても明るい照明を付けていればもっと明るいでしょうし、暗めの照明を付けていればもっとくらいでしょうし、照明から離れたところで見ればさらに暗いでしょう。)

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徹底的にカラーマッチングの精度を上げたい場合はモニター側で調整

カラーマッチングにおけるモニターとプリンター出力の関係

 単純にモニター表示を業界の標準的な基準でキャリブレーションするのではなく、自分の作業環境におけるプリンター出力結果とモニター表示をできるだけ近付けるようにしたい、という場合があるでしょう。

 その場合は以下のようにします。

プリンター出力物に関する調整はあまりできない

 プリンター出力物はプリンタープロファイルだけではコントロールできません。
 白色点の色や輝度が照明の色や明るさ等の周囲の環境で左右されます。

 よって、モニターと比べて調整の余地は少ないです。

 プリンタープロファイルを作成した後は、プリンター出力物を見る照明環境モニターの調整によってカラーマッチングの精度を上げることになります。

モニターを調整してプリンター出力に近付ける

 モニターは、モニター自体が発光して表示するため、かなり大幅な調整が可能です。

 周囲の環境によらず輝度も白色点の色も大幅に変更できます。

 よって、調整の余地が少ないプリンター出力に対し、調整の容易なモニター側でプリンター出力物を見る環境に合わせて調整を行い、カラーマッチングの精度を上げます。

 プリンター出力物の輝度に合わせてモニター輝度を調整し、プリンター出力物の白色点の色に合わせてモニターの白色点の色を調整します。

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仕事の写真やDTP作業の場合は自分の作業環境に合わせない。業界の標準に合わせる。

 上記のように調整すると自分の作業環境ではカラーマッチングの精度は上がります。
 一方、周囲の人の作業環境の条件からは離れる可能性があります。

 仕事で写真やDTP関連の作業をする場合は、色々な人や機器の間でデータをやり取りします。
 そのため、自分独自の環境でカラーマッチングを行うと仕事がうまく進みません。

 そこで通常は、モニターは業界で標準的に使われている基準に合わせてキャリブレーションします。
 例えば輝度80cd/m2、白色点5000K、などです。

 自分の作業場の照明環境等も、業界で標準的に使われている基準に近づけます。
 例えば色温度5000Kの色評価用照明を使用し、プリンター出力を見る場所が500ルクス程度になるようにするなどします。

誤差は人側で解決する

 カラーマネジメントを適切に行っても、誤差が残ります。

 しかし、機器を調整して誤差を埋めると業界の基準から離れてしまい、望ましくありません。

 そこで、残る誤差は作業する人の中で解決することも多いです。

 たいていの写真やDTP作業等であれば、作業する人の感覚で解決できるくらいの誤差に収まっていれば、カラーマネジメントは成功していると思って良いでしょう。

さらに高い精度が要求される分野もある

 オフセット印刷の色校の出力関連やそれ以降の工程などでは、誤差も数値で管理して一定の範囲に収めるなど、かなり精度の高いカラーマネジメントを行う必要がある部分もあります。

 以上、カラーマッチングを行う際のヒントとして、モニターとプリンター出力の白色点の色と輝度の関係をおおまかにご説明しました。

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