カラーマネジメントの理屈

ジャパンカラー(Japan Color)とはどういうものか

投稿日:2019年3月4日 更新日:

 印刷に関する作業をしていると頻繁にジャパンカラー®(Japan Color®)という言葉が出てきます。
 日本のオフセット印刷の印刷色の標準であるとの説明があっても、業界の人でないといまいちよく分からないかもしれません。

 ここではジャパンカラーとはどういうものか、おおまかな雰囲気をご説明します。

CMYKのデータを適当に印刷すると、濃さや色合いがまちまちになる

同じCMYKデータを色々な印刷所で印刷してみる

 色々なCMYK値を並べたCMYKのデータを用意します。

色々なCMYK値を並べたCMYKのデータ

 このCMYKデータを、色々な印刷所に依頼して印刷してみます。
 例えば、すべての印刷所に「コート紙で、2000枚印刷して下さい」と依頼します。

 その結果、納品された印刷物を並べてみると以下のようになったとします。

同じCMYKデータを印刷した結果の例

印刷結果はまちまちな濃さ、色合いになるかもしれない

 上図のように、元のデータは同じCMYK値のデータでも印刷所によって色々な印刷結果になるかもしれません。

 RGBに例えると、同じ写真のデータを表示してもPCモニターによって色々な色合いになってしまうのと似ています。

同じCMYKデータを同じ印刷所で何回か印刷してみる

 全く同じCMYKデータを、E印刷所に何回か印刷を依頼したとします。
 その結果、印刷結果を並べると以下のようになったとします。

同じCMYKデータをE印刷所で4回印刷した結果

依頼するたびに、印刷結果はまちまちな濃さ、色合いになるかもしれない

 上図のように、データは同じCMYK値のデータでも、依頼する日が違うと色々な印刷結果になるかもしれません。

 RGBに例えると、同じ写真のデータを同じPCモニターで表示しても、一年前と今日では少し色合いが変わっているのと似ています。(※似ていますが細かく言うと同じではありません。)

CMYKの色を決めると作業しやすい

CMYKの色がまちまちでは作業がしにくい

 同じCMYK値のデータを印刷しても印刷結果がまちまちになるとすると、何かと作業しにくいです。

 印刷用のデータを作って、例えばC50M80Y20で色を塗ったとしても、依頼する印刷所や依頼する時期が変われば異なる色に仕上がるということになってしまいます。

CMYKの色を決めてしまいたい気持ちが出てくる

 そこで、CMYKの色を決めてしまいたい気持ちが出てきます。
 例えばC50M80Y20なら印刷所や印刷時期に関わらずこういう色、ということに決める、という具合にです。

CMYKの色を決めてみる

 例えば、前出の図の印刷結果の中から一つを選んで、これをCMYKの色ということにする、と決めてみます。

印刷結果から一つを選んでCMYKの色ということにしてみる

 実際は色々なCMYKの色があるので、上図のCMYKの色には「あいうえおカラー」という名前を付けてみます。

「あいうえおカラー」という名前を付けてみる

 このようにすると、遠くの人に色を伝えることができます。
 北海道の事務所から鹿児島の事務所へ、「あいうえおカラー」のC50M80Y20、と伝えれば、どういう色か正確に伝わります。

 また、印刷用のデータを作っていてC50M80Y20で色を塗る時も、「あいうえおカラー」ならどういう色になるかは決まっているので、「あいうえおカラー」でデータを扱う限りは色が明確になって楽です。

ジャパンカラー(Japan Color)

 ジャパンカラー(Japan Color)がどういうものか、おおまかな雰囲気で言うと以下のとおりです。

日本の印刷所の印刷結果を調べる

 日本では昔から多くの印刷所があり、オフセット印刷を行っています。

 あるCMYK値があったとして、それを日本の色々な印刷所で印刷したときの結果を調べてみます。

 その結果、だいたい平均的な印刷結果の色が分かってきます。

平均的な印刷結果の色を確定して、ジャパンカラー(Japan Color)という名前を付ける

 平均的な印刷結果の色を確定して、ジャパンカラー(Japan Color)という名前を付けて、印刷色の標準ということにします。

ジャパンカラーがあると作業がしやすい

 この結果、ジャパンカラーになるように印刷したり、ジャパンカラーで印刷することを想定して印刷用のデータを作ったりすると、CMYKの色が確定しているので作業がしやすくなります。

 また、ジャパンカラーになるように印刷すると、二年前でも一年前でも今日でも、同じ印刷結果になります。
 そのため、同じ印刷物の増刷が必要になった時も同じ色に印刷できるので、注文した人と印刷所の双方とも楽です。

JapanColorの条件で印刷する印刷所に依頼するとどうなるか

JapanColorの条件で印刷する印刷所であればある程度印刷結果が推測できる

 JapanColorの条件で印刷します、と案内している印刷所に、コート紙の枚葉印刷を依頼したとします。

 そうすると、少なくとも以下の二つの点がJapanColorの条件に合うように印刷されます。

  • CMYK各版のベタ部分の色
  • CMYK各版の50%網点部のドットゲイン

 この二つの点をJapanColorの条件に合わせて印刷すると、印刷結果はある程度JapanColorの色に近いものになります。

 JapanColorのコート紙の枚葉印刷の色を示したICCプロファイルは手に入るので、このプロファイルを利用することで、手元のCMYKデータをJapanColorの基準でコート紙に枚葉オフセット印刷したときの色はある程度確認できます。

 よって、JapanColorの条件で印刷している印刷所に印刷を依頼する場合は、印刷前にある程度印刷結果が分かります。

カラーマネジメントの実務に慣れている必要はある

 手元のCMYKデータを印刷したときの色をモニター等で確認するためには、当然ながらカラーマネジメントの知識が必要で、かつカラーマネジメントの実務にある程度慣れている必要はあります。

 モニターキャリブレーションの誤差、モニターの輝度と印刷物を観察するときの明るさの違い、モニターの白色点と印刷用紙の色の違い、JapanColor標準印刷なら合わせているのはあくまでベタ部の色と50%網点部のドットゲインなのですべての色が寸分たがわずJapanColorの色になるとは限らない、などの認識も必要です。

 そういった理解があり、実務にも慣れていると、作業に便利な程度に印刷結果が推測できて楽です。

 一方、そういった基本的な認識がなく、また実務にも慣れていない場合、思ったような結果にならない可能性もあります。
 例えばモニターキャリブレーションをキャリブレーションソフト任せで行った場合、輝度がデフォルトで160cd/m2くらいになるケースもあります。
 この場合モニターが明るすぎて、オフセット印刷の結果とモニターの見た目はかなり異なる可能性が高いです。
 オフセット印刷だけでなく、インクジェットプリンターの出力結果とモニターのマッチングも困難な可能性が高いです。

JapanColorの条件で印刷する印刷所であれば、増刷を依頼したとき前回と近い色で印刷される

 JapanColorの条件で印刷します、と案内している印刷所にリーフレットの印刷を依頼したとします。

 一年後にリーフレットが不足して、同じ印刷所に増刷を依頼したとします。
 増刷の依頼時もその印刷所は、JapanColorの条件で印刷します、と案内していたとします。

 この場合、初回の印刷時も2回目の印刷時もともに、少なくとも以下の二つの点がJapanColorの条件に合うように印刷されます。

  • CMYK各版のベタ部分の色
  • CMYK各版の50%網点部のドットゲイン

 この結果、初回の印刷結果も2回目の印刷結果も、ある程度同じくらいの色になる可能性が高いです。

 このように、JapanColorの基準で印刷している、と案内している印刷所なら増刷を依頼したときある程度前回と近い色になる可能性が高いので助かります。

JapanColorでなくても、印刷の基準を決めている印刷所なら色は安定している

 増刷を依頼した時の印刷結果が前回と近い色になるためには、必ずしもJapanColorを基準にしなければならないわけではありません。
 JapanColorでもそれ以外でも、印刷の基準を決めていさえすれば増刷を依頼時の色は前回と近くなる可能性が高いです。

 A印刷所が独自にベタ部分の色やドットゲインなどの基準を決めて、その基準で今日、何かを印刷し、これをA印刷所の印刷の基準にする、と決めたとします。

 一週間後にリーフレットの印刷の依頼があり、ベタ部分の色やドットゲインやその他の要素を自社基準に合わせて印刷して納めます。

 一年後に同じリーフレットの増刷の依頼があり、ベタ部分の色やドットゲインやその他の要素を前回印刷時と同じ自社基準に合わせて印刷します。

 印刷結果の色に関わる重要な要素を基準に合わせているため、一年前に納品したリーフレットと今回増刷したリーフレットはほぼ近い色に印刷できます。

実際にはさらに複雑な操作をする可能性もある

 実際には上記の説明より複雑な操作をする可能性もあります。

 外部の人が作ったCMYKデータは多くの場合JapanColorを前提にしているので、JapanColorと自社基準の差を埋める段取りが必要かもしれません。

 自社独自の基準で印刷するなら、自社の印刷条件を示したICCプロファイルを作ることになります。

 自社独自の基準を決めた場合、外部の人はこの印刷所の印刷条件に合ったCMYKデータを作れません。
 そこで、依頼されたCMYKデータを自社基準に合うCMYK値に変換するかもしれません。
 版を出力する時にRIPで網点%を調整したりもできるので、そういった操作で調整を加えるかもしれません。

 その他、色々考えられます。

ジャパンカラー認証制度

 ジャパンカラー認証制度というものがあります。

標準印刷認証

 標準印刷認証というものがあります。

 おおまかには、オフセット印刷をするときに、以下の項目を基準に合わせて印刷するという内容です。

  • CMYKベタ部のL*a*b*値
  • CMYK50%網点部のドットゲイン

マッチング認証

 標準印刷認証より厳しい認証です。

 標準印刷認証はベタ部のL*a*b*値、50%網点部のドットゲイン、をそれぞれ基準に合わせて印刷する必要がありますが、マッチング認証はそれ以外にも複数の項目を基準に合わせる必要があります。

プルーフ機器認証

 色校正を出力するためのプリーフ機器を認証する制度です。

 たいていは、プルーフ機器を製造している会社が以下の3点セットに対して認証をとります。

  • プルーフ機器
  • RIP
  • プルーフ用紙

 プルーフ機器を利用する立場としては、自分で認証を受けることはあまりなく、プルーフ機器認証を受けている機器類を選んで使用したりします。

プルーフ運用認証

 プルーフ機器認証を受けた機器を使って、正確なプルーフを安定して出力できる能力を認証するものです。

 プルーフ機器認証をとった機器を使用したとしても、機器のキャリブレーションや出力プロファイルの定期的な作り直しや正しい設定が正確にできていなければ、まともな色校正は出力できません。

デジタル印刷認証

 デジタル印刷機の運用能力を認証する制度です。

認証を取得した会社や機器の調べ方

 ジャパンカラー認証制度の各認証を取得している印刷会社やプルーフ機器などは、Japan Color認証制度の公式ウェブサイトに一覧が掲載されています。

参考ウェブサイト

正確には公式の資料等で要確認

 上記の説明はあくまで雰囲気の説明です。

 正確で詳細な情報は公式の資料等をご確認ください。

 以上、ジャパンカラーとはどういうものか、おおまかな雰囲気をご説明しました。

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