カラーマネジメント関連機器

カラーマネジメントディスプレイの選び方 〜理屈の説明は省略して〜

投稿日:2016年9月15日 更新日:

 カラーマネジメントディスプレイを使って写真のレタッチやプリンター出力をしたいものの、カラーマネジメントの理屈までは知る時間がない方も多いのではないでしょうか。

 ここでは、カラーマネジメントの理屈の説明はできるだけ省略して、カラーマネジメントディスプレイの選び方をご紹介します。

目次

はじめに 社会的責任を果たしているメーカーの製品を購入する

 電子機器の製造で使用される原料には、深刻な国際問題が関係しています。

 当然ながら、機器を使用する私たちユーザーもそれら国際問題の当事者の一人です。

 そのため、カラーマネジメントモニターを買う場合は社会的責任を果たしているメーカーの製品を選びましょう。

武装勢力や児童労働と関わりのある原料を使っていないかどうか

 報道によれば、電子機器の製造に必要な鉱物は武装勢力の資金源になっている鉱山で生産されたものもあるということです。

 また、原料の採掘作業において児童労働が行なわれていることも明らかになっています。

 私たちとしては、そういった鉱山で生産された鉱物を使用していない製品を選ぶ必要があります。

 電子機器を購入する場合、紛争や児童労働などに関わりのない鉱物を使用しているかどうかなど、製造メーカーがきちんと管理された道筋で原料を調達しているかどうかを確認すると良いでしょう。

 信頼できる製造会社であれば、ウェブサイト等で原料調達に関する取り組みについて記載があり、会社によっては報告書などが公開されています。

その他 製品の廃棄や温室効果ガスの問題など

 製品を使い終われば廃棄することになります。
 製品を製造したり輸送したりするときには温室効果ガスが出ます。

 真面目なメーカーであれば、廃棄方法について案内したり、企業活動に関わるエネルギーや温室効果ガス等について報告書などを公開しています。

 メーカーのウェブサイトのCSRに関するページを確認し、社会的責任を果たそうとしているメーカーの製品を選択しましょう。

仕事や創作活動の参考になる動画

 技術は人のためにあり、カラーマネジメント技術も人の暮らしのためにあります。
 私たちの仕事や創作活動を意味あるものにするために、持続可能なやり方になっているかどうか、常に自分を振り返りましょう。

参考になる本

カラーマネジメントモニターの見分け方 ハードウェアキャリブレーションができるモニターを選ぶ

どれがカラーマネジメントモニターなのか見分けにくい

 PCモニターの売り場やウェブサイトを見ると、色々なモニターが並んでいます。
 色再現性が高い、といった説明が付いているものも多くあります。

 一見すると、どれがカラーマネジメントモニターで、どれがカラーマネジメントモニターではないのか、分からないかもしれません。

一般的にはハードウェアキャリブレーションができるモニターをカラーマネジメントモニター、カラーマネジメントディスプレイと言っていることが多い

 カラーマネジメントモニター、カラーマネジメントディスプレイの正確な定義があるのかどうかはディスプレイ業界の人に聞かないと分かりません。

 しかし、写真や印刷等の業界でカラーマネジメントモニターと言った場合は、たいていはハードウェアキャリブレーションが可能なモニターのことを言っています。

 当ブログでも、ハードウェアキャリブレーションが可能なPCモニターのことをカラーマネジメントモニター、カラーマネジメントディスプレイと呼んでいます。

ハードウェアキャリブレーション

 ハードウェアキャリブレーションは、モニターの表示を測定しながらモニター自体で白色点の色、輝度、ガンマなどを細かく調整するキャリブレーションの方法です。

 逆に、ハードウェアキャリブレーションができない普通のモニターは、モニター自体ではおおまかに調整して、あとはモニターに送る映像の信号を補正してキャリブレーションします。

ハードウェアキャリブレーションが可能、と書いてあるモニターを選べば良い

 カラーマネジメントモニターを探す場合は、モニターの説明に「ハードウェアキャリブレーションが可能」と書いてあるものを探すと良いでしょう。

 EIZO®のカラーマネジメントモニターや、NEC®のカラーマネジメントディスプレイは、仕様の説明のどこかにハードウェアキャリブレーションが可能と書いてあります。

 「カラーマネジメントモニター」「カラーマネジメントディスプレイ」という言葉は参考程度として、「ハードウェアキャリブレーションが可能なPCモニター」を探すという考え方で進めると分かりやすいです。

注意 AdobeRGBをカバーしているモニターは必ずしもハードウェアキャリブレーション可能なモニターというわけではない

 少し前までは、ハードウェアキャリブレーションが可能なモニターの一部しかAdobeRGBの色域をカバーしているような製品は販売されていませんでした。

 最近はモニターの色域が広くなってきて、AdobeRGBを90%以上カバーしているようなモニターが増えています。

 ハードウェアキャリブレーションが可能なディスプレイとういわけではなくても、色域はAdobeRGBを90%以上カバーしているという製品がいくつも販売されています。

 この結果、カラーマネジメントモニターを紹介するブログ記事等で、ハードウェアキャリブレーションが可能かどうかに関わらずAdobeRGBをカバーしているPCモニターを集めて「カラーマネジメントモニター」として紹介しているブログも見受けられます。

 紛らわしいので注意が必要です。

ディスプレイが表示可能な色域

写真のレタッチ用ならsRGBをカバーしていればOK

 写真のレタッチ用なら、表示可能な色域については、sRGBの色域が表示できれば問題ありません。
 デジカメでAdobeRGBで使って撮影した写真をsRGBの色域のディスプレイで表示すると、表示可能な色域外の色は表示可能な範囲に入るように変換されて表示されます。
 このとき、ディスプレイ表示用に色が変換されているだけで、元の画像データはAdobeRGB色域のままなので安心して下さい

 信用できるメーカーがカラーマネジメントディスプレイとして販売しているディスプレイなら、少なくともsRGBはカバーしています。

 スペック表には特に「sRGBをカバー」とは書いていない場合もあるかもしれません。

 sRGBの色域のディスプレイの良い点は、レタッチ作業にほとんど問題がないにも関わらず、AdobeRGBをカバーしている製品より少し安いという点です。

イラストやCG作成用ならAdobeRGBをカバーしていた方が便利なときもある

 どんな用途でも、もちろんAdobeRGBの色域をカバーしていても問題ありません。
 最近のカラーマネジメントモニターはほとんどがAdobeRGBをカバーした製品になっています。

 イラストやCG作成の用途の場合、彩度の高い色を使うこともあるでしょう。そのような色を最終出力と同じ色でモニターで確認しながら作業したい、という場合はAdobeRGBをカバーしたディスプレイの方が便利です。

AdobeRGBの画像データを正しく扱うためにはAdobeRGBの色域をカバーしたディスプレイが必要、というわけではない

 注意したいのは、例えばデジカメでAdobeRGBで撮影した写真のデータなど、AdobeRGBの画像データを正確に扱う場合は必ずAdobeRGBの色域を表示可能なディスプレイを使用する必要がある、というわけではないということです。

 プリンター、ディスプレイ、カメラなど、再現可能な色域が異なるデバイス間で同じ色を保ったままデータをやりとりする仕組みがカラーマネジメントです。

 再現可能な色域が異なれば、データを渡すデバイスでは表現できる色でも受け取るデバイスの方では表現できない色、というものが出てきます。
 その場合は見た目ができるだけ変わらないように色域変換(色域圧縮、ガモットマッピング)という処理が行われます。

 この色域変換により、AdobeRGBのデータを、AdobeRGBをカバーしていないカラーマネジメントディスプレイで表示しても、正しく表示されます。
 さらに、モニターの表示がAdobeRGBより狭いだけであり、画像データやプリンターの色域には何も影響はありません
 ですから、sRGBの色域しか表示できないディスプレイを使用して、AdobeRGBの写真のデータをレタッチしてAdobeRGBの色域の出力が可能なプリンターでAdobeRGBの色域の出力を行う、ということも問題なくできます。

測色器・キャリブレーションセンサー 内蔵か外付けか

頻繁にキャリブレーションしないなら外付けで問題ない

 趣味で使う場合は測色器は外付けのタイプで良いと私は思います。

 趣味で使う場合なら一ヶ月に一回くらいキャリブレーションすれば足りるので、測色器外付けでもそれほど面倒ではありません。

 また、カラーマネジメントの仕組みに則って作業をする場合、どういう測色器を使用したかを気にしておきたい気持ちがあります。
 内蔵測色器だと仕様があまり詳しく分からないかもしれませんが、外付けだとある程度詳しく分かるという利点もあります。

業務で頻繁にキャリブレーションするなら内蔵の方が楽ではある

 業務で毎日キャリブレーションしたいような場合は、毎朝測色器を付けたり外したりするのは面倒なので内蔵の方が楽だと思います。

その他のスペック

液晶セルの種類 〜TN、IPSなど〜

 液晶セルの種類は、IPSを選ぶと良いです。
 現在カラーマネジメントディスプレイとして販売されているディスプレイはほとんどIPSパネルを使っているようなので、気にしなくても問題ありません。

 IPSパネルは、液晶セルの液晶分子の配列方法で最も一般的なTNのパネルの視野角が狭いという欠点を解消した方式です。

応答速度

 応答速度はフォトレタッチ作業など静止画を扱う作業をするなら気にする必要はほとんどありません。

 動画を扱うなら数字が小さい方が良いです。

表示モード

 画面表示をsRGBにするモードがあった方が良いです。

 プリント用の写真を扱う場合はあまり必要ありませんが、ウェブ用の画像を扱う場合に、世間ではsRGBに近い特性でウェブサイトを表示させることが多いので、その見え方を自分でも確認できた方が便利だからです。

 なお、sRGBの表示モードを使わなくても、sRGBを目標にしてモニターキャリブレーションを行えばsRGBの特性の表示はできます。

画素密度

 フォトレタッチ作業をする用途なら気にしなくて大丈夫です。

表示色

 信頼できるメーカーから発売されているカラーマネジメントディスプレイなら、スペック表に単なる色数だけでなく、パソコンから入力される信号を画面に表示するまでの処理に関わるスペックとして例えば「約1677万色:8bit対応(約278兆色中/16bit-LUT)」「約1677万色(約4兆3475億色中)」などの表示があります。

 信頼できるメーカーからカラーマネジメントディスプレイとして売られているディスプレイは表示の品質にはこだわって作られているので、数値をそれほど気にしなくても大丈夫です。

画面のサイズ

 お好み次第です。

 ただ、仕事でカラーマネジメントモニターを使っている私の経験では、画面が大きいほど目が疲れます。
 浴びる光が多いからかもしれません。

消費電力

 現在のところ日本では火力発電が主であり、電気を使うほど二酸化炭素を出してしまうので、できるだけ消費電力は低いものの方が良いです。

 できるだけ消費電力の小さい製品を作ろうと努力をしている企業を応援しましょう。

PCリサイクル 資源有効利用促進法

 購入したディスプレイを廃棄するとき、資源有効利用促進法に基づいてメーカーに回収を依頼します。

 きちんとしたメーカーであれば、メーカーのウェブサイトからディスプレイ回収の申し込みができます。

 しかし、回収する気が感じられないメーカーの場合電話受付しかしていないところもあります。

 ディスプレイを売るときはウェブを最大限利用して販売し、回収するときは電話受付だけにして、申し込みやすくしようとしないようなメーカーの製品は避けた方が良いでしょう。

おすすめのカラーマネジメントディスプレイ

 以上の説明から、フォトレタッチとプリンター出力など、写真の作業におすすめのディスプレイをご紹介します。

EIZO® CS230 〜色域sRGBの製品〜

ColorEdge CS230-CN (ColorNavigator付属)

 CS230-CNは外付け測色器が付属していないため、別に外付けカラーセンサーが必要です。

EIZOダイレクト ColorEdge CS230-CN (ColorNavigator付属)
楽天市場 CS230-CN
Amazon CS230-CN

EIZOダイレクト 外付けキャリブレーションセンサー EX3
楽天市場 EIZO EX3
Amazon EIZO EX3

EIZO® CS2420 〜色域AdobeRGBの製品〜

 外付けの測色器がセットになっていないため、別に外付けキャリブレーションセンサーを用意する必要があります。

EIZOダイレクト ColorEdge CS2420(Quick Color Match付属)
楽天市場 楽天市場

EIZOダイレクト 外付けキャリブレーションセンサー EX3
楽天市場 EIZO EX3
Amazon EIZO EX3

 以上、カラーマネジメントの理屈の説明はできるだけ省略して、カラーマネジメントディスプレイの選び方をご紹介しました。

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