カラーマネジメント実践ブログ 〜フォトレタッチの現場から〜

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DTP関連の全ての色の問題解決はデータの絶対的な色の確認から始まる

      2018/10/15

 パソコンの普及と印刷のデジタル化で、様々な方がAdobe® Illustrator®等のレイアウトソフトで印刷用データを作成し、ディスプレイで表示、社内のプリンターで出力、印刷所で印刷、などをする機会が増えています。
 この場合、ディスプレイ表示の色がおかしい、プリンターの色がおかしい、印刷結果がおかしいなど、色の問題がたくさん起こります。
 グラフィックを扱う場合、たくさんのデバイスで色が処理されるため、結局どの部分がうまくいってないのか分からずじまいということが多いのではないでしょうか。

 ここでは、モニター、プリンター、オフセット印刷など、色の問題を解決するときにどういう方向で問題を扱えば良いかをご紹介します。




手順1 レイアウトデータが示す色を確認する

 まず、モニター表示、プリンター出力、オフセット印刷のスタート地点であるレイアウトデータが示している絶対的な色を確認します。

Illustratorのようなカラーマネジメント対応ソフトのドキュメントは、必ず何らかの絶対的な色を持っている

 Illustrator、Photoshop等のカラーマネジメント対応ソフトで作成したドキュメントは、必ず何らかの絶対的な色を持っています。

 もし作成した人がカラーマネジメントを利用せずにデータを作ったり、プロファイルの指定なしでデータを作成したりしたとしても、必ず絶対的な色を持っています。

プロファイルを指定すれば、そのプロファイルの色空間における絶対的な色に決まる

 IllustratorやPhotoshop等でRGBドキュメント、またはCMYKドキュメントを作成したとします。

 そのデータに「プロファイルの指定」で何らかのRGBプロファイル、またはCMYKプロファイルを指定したとします。

 その場合、RGBドキュメントならドキュメントのRGB値RGBプロファイルの組み合わせで、デバイスに依存しない絶対的な色が確定することになります。

 CMYKドキュメントならドキュメントのCMYK値CMYKプロファイルの組み合わせで、デバイスに依存しない絶対的な色が確定することになります。

「プロファイルなし」「カラーマネジメントしない」などの設定にした場合、カラー設定で指定されている色空間における絶対的な色に決まる

 IllustratorやPhotoshop等でRGBドキュメント、またはCMYKドキュメントを作成したとします。

 プロファイルに関してはよく分からないので、アプリケーションソフトから何か聞かれたときは「カラーマネジメントしない」「プロファイルなし」などを選択したとします。

 この場合、このドキュメントはアプリケーションソフトのカラー設定で指定されているカラープロファイルが示す色空間で扱われることになります。

 RGBドキュメントならドキュメントのRGB値カラー設定のRGBプロファイルの組み合わせで、デバイスに依存しない絶対的な色が確定することになります。

 CMYKドキュメントならドキュメントのCMYK値カラー設定のCMYKプロファイルの組み合わせで、デバイスに依存しない絶対的な色が確定することになります。

ドキュメントが示す絶対的な色は、キャリブレーションされたモニターで確認できる

 ドキュメントが示す絶対的な色の確認は、キャリブレーションされたモニターで行うことができます。

 モニターのキャリブレーションが行われていない場合、モニターで確認してもドキュメントが示している絶対的な色とは違う色で表示されてしまいます。

プリンターでドキュメントの絶対的な色を確認するのは難しい

 モニター、プリンター、印刷など、どこで色がおかしくなっているのか分からない場合、ドキュメントをプリンターで出力してみることでドキュメントの絶対的な色を確認するのは難しいです。

 プリンターはディスプレイと比べると色が不安定で、プリンターのキャリブレーション・プリンタープロファイル作成などの作業も難易度が高いです。
 そのため、色のトラブルが発生している状況でプリンター出力をデータの絶対的な色と自信を持って言いきるのは避けた方が良いです。

オフセット印刷の結果でレイアウトデータの絶対的な色を確認するのは無理

 オフセット印刷は、レイアウトデータからRIPで網点を作成し、レーザーで刷版に網点を焼き付け、オフセット印刷機でインクを紙に乗せます。
 いくつもの処理が加わえられ、また印刷機はインクを紙に乗せる作業をするものであり、モニターのような全てデジタル処理で済むようなデバイスと違い大変不安定でコントロールするのが難しい装置です。

 よって、色のトラブルが発生している状況でオフセット印刷の結果をレイアウトデータの絶対的な色だと自信を持って言える状況はほとんどありません。

モニターのキャリブレーションは難易度が低く、信頼性も高い

 プリンターやオフセット印刷と違い、モニターは完全なデジタル機器です。
 モニターキャリブレーションツールや、ハードウェアキャリブレーションモニターなどを使用したキャリブレーション作業・ディスプレイプロファイル作成作業はかなり簡単に行えます。

 作業は簡単ですが、一度キャリブレーションを行えばかなり高い精度で安定して正確な表示に調整することができます。

ドキュメントのデータの絶対的な色はモニターで確認するのが良い

 以上の説明から、色のトラブルが発生している状況で、いずれかのデバイスでデータの絶対的な色を確認する場合、モニターで確認するのが最善の選択です。

ドキュメントの絶対的な色をモニターで確認する実際の手順

(1)モニターのキャリブレーションをする

 色のトラブルが発生しているなら、モニターの表示も疑う必要があるので、念のためモニターのキャリブレーションを行います。

(2)トラブル発生前と同じ条件でドキュメントを表示する

 モニターキャリブレーションが終わったら、トラブル発生前と同じ条件でドキュメントを表示し、色を確認します。

 トラブル発生前と同じ条件ということは、同じパソコンで、同じアプリケーションソフトで、同じカラー設定のままで開きます。

 トラブル発生前と違うパソコンでドキュメントを表示しても、アプリケーションのカラー設定も異なっているかもしれないため、原因追求には意味がありません。

手順2 ドキュメントの絶対的な色と違う色に変わってしまったデバイスを特定するなどの作業を進める

 モニターを使用してドキュメントの絶対的な色が確認できれば、それを元にトラブルの原因になっているデバイスを探して、原因を特定していきます。

 ここから先は状況によって異なります。
 しかし、スタート時点のドキュメントの色が確認できているので、ある程度詳しい人がいれば原因は特定できます。

まとめ 色の問題を扱う場合はモニターキャリブレーションから始める

 以上のように、色の悩みや問題を扱う場合は、まずモニターキャリブレーションを行わないと始まりません。

 モニターキャリブレーションは、他の機器のキャリブレーションに比べるとツールの価格も廉価で、作業の難易度も低いです。
 しかし、安くて難易度は低くても、液晶モニターは安定していて扱いやすい装置なので、キャリブレーション結果の信頼性は他の機器より高いです。

 よって、色で困っている場合はまずモニターキャリブレーションを行う必要があります。

 逆に、キャリブレーションされたディスプレイがない場合、その場にいくらカラーマネジメントに詳しい人がいたとしても、色のトラブルの原因追求がほとんどできない状況になります。

 以上、DTP関連の全ての色の問題解決は、キャリブレーションされたモニターによるデータの絶対的な色の確認から始まる、ということをご説明しました。

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