カラーマネジメントの基本

初心者の方へ ディスプレイのキャリブレーションの方法

投稿日:2016年7月4日 更新日:

eyecatch_display_caribration
 カラーマネジメントについての説明、パソコン画面とプリンター出力のカラーマッチングの説明などには、必ずディスプレイキャリブレーションの話が出てきます。

 ディスプレイのキャリブレーションの方法にはいくつかあるので、分かりにくいとお思いの方も多いのではないでしょうか。

 ここでは、パソコンのディスプレイのキャリブレーションの方法をご紹介します。

目次

はじめに 社会的責任を果たしているメーカーの製品を購入しましょう

 電子機器の製造で使用される原料には、深刻な国際問題が関係しています。

 当然ながら、機器を使用する私たちユーザーもそれら国際問題の当事者の一人です

 そのため、カラーマネジメント関連機器を買う場合は社会的責任を果たしているメーカーの製品を選びましょう。

武装勢力や児童労働と関わりのある原料を使っていないかどうか

 報道によれば、電子機器の製造に必要な鉱物は武装勢力の資金源になっている鉱山で生産されたものもあるということです。

資料映像

参考ウェブページ

 また、原料の採掘作業において児童労働が行なわれていることも明らかになっています。

参考の資料映像

参考ウェブページ

 国際社会の一員である私たちがこういった国際問題の当事者ですので、私たちとしては、そういった鉱山で生産された鉱物を使用していない製品を選ぶ必要があります。

 電子機器を購入する場合、紛争や児童労働などに関わりのない鉱物を使用しているかどうかなど、製造メーカーがきちんと管理された道筋で原料を調達しているかどうかを確認すると良いでしょう。

 メーカーのウェブサイト等で原料調達に関する取り組みについて記載があり、会社によっては報告書などが公開されています。

製品の廃棄まで丁寧に説明しているかどうか

 電子製品はいずれ壊れます。

 良心的な製造メーカーの場合、ウェブサイトで製品の回収などについて分かりやすく丁寧に説明しています。
 例えばPCリサイクルの仕組みで回収される対象の製品であれば、回収申し込みもウェブサイトから行えるようになっていたりします。

 そのように、機器類の廃棄に至るまで自社製品に責任を持とうとしているメーカーの製品を選びましょう。

その他 メーカー企業のCSRに関するウェブページを確認する

 環境、人権、その他色々な分野において、メーカー企業が社会的責任を果たしながら生産活動をしているかどうか、ウェブサイトのCSRに関するページを確認しましょう。

 社会的責任を真面目に果たそうとしている企業の製品を選んで、応援しましょう。

仕事や創作活動を見直すための資料

 私たちの仕事や創作活動で見直すべき点を考えてみましょう。

 ただSDGsのラベルを貼れば持続可能な事業になるわけではありませんので、実際に持続可能な事業活動に変える努力をしましょう。

参考ウェブページ

 

方法1 カラーマネジメントモニターを購入する

 カラーマネジメントモニターを使うとキャリブレーションが簡単にできます。

 説明書に従って操作するだけです。

カラーマネジメント対応ディスプレイの利点

利点1 比較的簡単

 カラーマネジメント対応ディスプレイを使用するのが一番簡単です。

 ディスプレイ測色器カラープロファイル作成ソフトなどが一式セットになった製品を購入すると、ディスプレイの説明書通りに操作すれば比較的簡単にキャリブレーションが行えます。
(測色器が別売りになっている場合も多いです。)

 輝度の調整も自動で行われ、キャリブレーション後は輝度が固定されて勝手に変更されないようになるなど、モニター調整に詳しくなくても扱いやすいです。

利点2 ハードウェアキャリブレーションができ、画質が高い

 カラーマネジメント対応ディスプレイは、ディスプレイ本体の内部を調整して表示特性をその都度微調整できるようになっています。そのため、パソコンから送られてくる映像の信号には手を加えず、ディスプレイ本体の内部で白色点の色・輝度・ガンマの調整を行います。
 このような方法がハードウェア・キャリブレーションというものです。
 ハードウェアで直接調整するので精度の高い調整ができ、映像の信号自体には手を加えないため、情報量を減らすことがなく、映像も劣化しません。

 カラーマネジメント対応ディスプレイと普通のディスプレイの最も大きな違いはハードウェア・キャリブレーションができるかできないかの違いです。

カラーマネジメント対応ディスプレイの例

 カラーマネジメント対応ディスプレイのメーカーとしては、EIZO®が有名です。

 現在、価格が低めで機能は十分なおすすめの商品としは、以下のような機種があります。

EIZO ColorEdge CS2410

当ブログ参考記事

補足説明 カラーマネジメント対応ディスプレイの色域

 CS2410はsRGBの色域をカバーしており、AdobeRGBの色域まではカバーしていませんが、普通の写真を扱う場合は問題ありません。

 よく、「デジタルカメラをAdobeRGBに設定して撮影した場合、ディスプレイはAdobeRGBに対応している必要がある」という説明をみかけますが、そのようなことはありません。

 カラーマネジメント技術には、色域の広さが異なるデバイス間で色を渡すときでも出来る限り支障がないようにするために色域圧縮(ガモットマッピング)という仕組みがあります。

 その仕組みのおかげで、AdobeRGBで撮影された写真のデータをsRGBの色域までしか表示できないディスプレイでも正しく表示できます。

当ブログ参考記事

問題は、写真のデータを開くソフトがAdobeRGBに対応しているかどうか

 問題は、写真のデータを開くソフトがAdobeRGBに対応しているかどうかです。

 ディスプレイがカバーしている色域がsRGBかAdobeRGBかに関わらず、AdobeRGBで撮影した写真のデータをAdobeRGBというカラースペースを解釈できないソフトで開けば正しい表示はできません。

 たとえば、カラーマネジメントに対応しておらず、すべての画像データをsRGBとして扱うようなソフトを使用してAdobeRGBで撮影した写真のデータを開いた場合、ディスプレイがAdobeRGBの色域をカバーしていても表示はAdobeRGBのデータに無理やりsRGBが指定された変色しくすんだ表示になってしまいます。

当ブログ参考記事

方法2 ディスプレイのキャリブレーション用のツールを購入し、キャリブレーションを行う

 カラーマネジメント対応ディスプレイではない普通のディスプレイでも、ディスプレイキャリブレーションをするためのツールを購入すればソフトウェアキャリブレーションが行えます。

ソフトウェアキャリブレーションとは

 カラーマネジメント対応ディスプレイではない普通のディスプレイは、ディスプレイ本体の内部を調整して表示特性をその都度微調整するようなことはできないので、パソコンから送られる映像の信号自体に処理を加えて白色点の色・輝度・ガンマの調整を行う必要があります。

 このような方法がソフトウェア・キャリブレーションというものです。

 普通のディスプレイで「カラーモンキースマイル」や「i1 Display Pro」などのディスプレイキャリブレーションツールを使用してキャリブレーションした場合、ソフトウェア・キャリブレーションが行われます。

 映像の信号自体に処理を加えた結果、加える前より情報量が減るので、少し映像は劣化します。

ディスプレイキャリブレーションツールを使用するメリット

メリット

 ディスプレイキャリブレーションツールを使用すれば、今使っているディスプレイでキャリブレーションできるので、安く済みます。

 また今あるディスプレイを引き続き大事に使えるので環境負荷も低く済みます。

デメリット

 カラーマネジメントディスプレイを使うより、少し難しいです。

 また、キャリブレーションを行うにはディスプレイが輝度やコントラストを細かく調整できるものでなければなりません。

 そのため、ジャンクコーナーで売られているディスプレイなど、壊れかけて性能の低すぎるディスプレイをお持ちの場合、キャリブレーションツールの使用だけではディスプレイのキャリブレーションができない場合もあります。

 キャリブレーション後でも、モニターやOSのディスプレイ調整メニューを操作してしまうと輝度やその他の特性が変更されてしまいます。
 ですので、キャリブレーション後は輝度調整の操作をしないようにするなど、モニター調整について少し知識が必要になります。

ディスプレイ用キャリブレーションツールの例

 ディスプレイ用キャリブレーションツールの主なものとして、以下のような機種があります。

X-Rite®社の製品

ColorMunki Smile(カラーモンキー・スマイル)

当ブログ参考記事

ColorMunki Display(カラーモンキー・ディスプレイ)

楽天市場 Amazon

当ブログ参考記事

i1Display Pro(アイワン・ディスプレイプロ)


楽天市場 Amazon

当ブログ参考記事

Color Munki、i1 Display Proの機能比較

 「Color Munki Smile」「Color Munki Display」「i1 Display Pro」はどれがどう違うのかよくわからないのではないでしょうか。

 すべて、普通の液晶ディスプレイの基本的なキャリブレーションは可能です。

 それ以外に、プロジェクターのキャリブレーションができる・できない、色温度やガンマなどの目標設定の選択肢の数・範囲、センサーのスピードが違う、など細かい違いがあります。

 以下の表に違いをまとめてみました。

Colormunki Smile Colormunki Display i1 Display Pro Colormunki Photo
測色器 三刺激値直読 三刺激値直読 三刺激値直読 分光測色計
白色点の選択肢 D65 D50、D55、D65、固有の白色点 D50、D55、D65、固有の白色点 D50、D55、D65、固有の白色点
ガンマ値 2.2 1.8、2.2 1.8、2.2、3.0、sRGB 1.8、2.2
カメラプロファイル作成 × × ×
プロジェクターのプロファイル作成 ×
RGBプリンターのプロファイル作成 × × ×
CMYKプリンターのプロファイル作成 × × ×

 詳細な機能の比較については、X-Rite社の以下の製品紹介ページ内の、「ソリューション紹介パンフレット」欄にあるパンフレットのPDFも比較表が載っています。
 パンフレットによって、日本語のものと、英語しかないものもあります。

参考ウェブページ

datacolor社の製品

 X-rite®製品以外に、datacolor社のキャリブレーションツールもあります。

SpyderX Pro


楽天市場 Amazon

当ブログ参考記事

Spyder®5 ELITE

楽天市場 Amazon

当ブログ参考記事

SpyderX Elite

楽天市場 Amazon

メーカーのウェブページ

当ブログ参考記事

カラーマネジメント実践ブログ 〜フォトレタッチの現場から〜
カラーマネジメント、フォトレタッチ、、画像や印刷関連の知識、Photoshopやカラーマネジメントツールの具体的な操作やテクニックなどを紹介するブログです。

方法3 既存のディスプレイをsRGBモードにする

 ディスプレイを自分好みに調整せず、「sRGBモード」のようなsRGB特性にちかいプリセットの表示モードにすると、キャリブレーションを行った状態に近くなります。

 新たにディスプレイやカラーマネジメントツールを購入するのは費用がかかるので、既存の設備だけで何とかしたいという場合は、ディスプレイを「sRGBモード」またはそれに類する設定にすると良いでしょう。

 モニターによってはないこともあるかもしれませんが、「sRGBモード」あるいはそれに似た名前の表示モードがある場合があります。
 これを選ぶと、モニターの表示特性がsRGBに近くなります。

 色やコントラストを、お持ちのモニターならではの色合いで使ったり自分好みに変更した状態で使うのに比べれば、ある程度sRGBに近い設定にして使用した方が、少しはディスプレイのキャリブレーションを行った状態に近くなります。

当ブログ参考記事

補足 OSに備わっている、見た目で調整する方法について

 OSに元々備わっている「ディスプレイキャリブレーション・アシスタント」「画面の色調整」といったディスプレイ調整用の機能を使って、見た目でディスプレイの表示を調整する方法があります。

 しかし、見た目で調整するのは大変難しく、私が試しにやってみた範囲では、あまりうまくいったことがありません。

 よって、OSのディスプレイ調整機能を使うよりは、「sRGBモード」のようなモードがあるディスプレイを買って、色を正確に扱う作業のときだけsRGBモードで使用するのが最も手軽です。

ディスプレイの廃棄方法について

 これからディスプレイのキャリブレーションをしてみようという場合、新たにディスプレイを買い替えることもあり得るでしょう。そのため、今までのディスプレイの廃棄のことも同時に考える必要が出てきます。

まだ使えるディスプレイなら信頼できる店へ買取へ

 まだ使えるディスプレイを手放す場合は、廃棄してしまうと資源が無駄になってしまいます。
 資源を無駄にすると、炭素排出量も減らせず、様々な環境負荷が大きくなり、経済活動は停止して人類は滅亡します

 また、他の種の生き物たちも人間の巻き添えで絶滅していきます。

 そこで、信頼できる買取の店へ出しましょう。

 注意しなければならないのは、買取に出しただけでは環境負荷は減らせないという点です。

 次回別の備品を購入するとき、中古品で間に合う場合は中古品を購入しましょう。

 買取に出して、別なものを購入時に中古を買う、というところまで実行してはじめて、日本、または世界全体で見て新品を1個製造するのを節約でき、炭素排出量などの環境負荷が減らせます。

もう使えないディスプレイの場合、資源有効利用促進法に従って廃棄しましょう

 液晶ディスプレイを廃棄する場合、国内の信頼できるルートで再資源化などの処理がされるようにしなければなりません。
 液晶ディスプレイの廃棄に関しては、資源有効利用促進法に基づいて行うことになっています。

 引き取りを依頼する先を間違えると、国際法に違反して海外へ輸出され、適切に再資源化もされないまま現地で甚大な環境汚染や健康被害を引き起こすということになる恐れがあります。
 そのような事態はすでに進行し、事態はかなり深刻で、もう待ったなしの状況です。

 そういう事態に私たちも知らないうちに加担しているとすれば、一方の人々を酷い目に合わせながら写真やグラフィックを美しく仕上げたとしても何の意味があるだろう、ということになってしまいます。

当ブログ参考記事

 以上、パソコンのディスプレイのキャリブレーションの方法をご紹介しました。

当ブログ参考記事

ディスプレイのカラーマネジメントをするために必要なツール

 測色器と付属品一式がセットになったカラーマネジメントツールは、少しずつ内容が違う種類がたくさんあってまぎらわしく、どれを購入すれば良いかわからない方も多いのではないでしょうか。  どのような用途でど ...

ディスプレイとプリンター、色が正しくないのはどちらか 判断する方法

 ディスプレイ表示の色と、プリンター出力の色が異なる場合、見ただけではディスプレイとプリンターのどちらの色が不正確なのかは分かりません。  実際にはディスプレイの色が不正確である場合に、プリンターの色 ...

写真をモニターと同じ色でプリンターで印刷する方法の簡単な説明

 パソコンのディスプレイ表示とプリンター出力の色を同じになるようにする理屈や方法の説明は色々ありますが、説明するほどだんだんややこしくなって、分かりにくくもなってきます。  ここでは、写真をディスプレ ...

雑誌

環境問題の本

カラーマネジメントの本

消費税特集

 消費税10%と複数税率に伴って導入が予定されているインボイスの影響で、かなりの数の中小業者が廃業に追い込まれることが予想されています。
 以下は当事務所加盟の商工会の制作による、インボイス等の説明動画とウェブページです。

関連するコンテンツ

当事務所の紹介

平間フォトレタッチ事務所

写真や種々のデータの色の問題など、芸術センスでは解決できない画像の色補正、フォトレタッチ、その他当ブログで扱っているような分野のご相談をお寄せいただけますと幸いです。

-カラーマネジメントの基本
-, , , , ,

Copyright© カラーマネジメント実践ブログ 〜フォトレタッチの現場から〜 , 2019 All Rights Reserved.