カラーマネジメント実践ブログ 〜フォトレタッチの現場から〜

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ネガフィルムやポジフィルムをスキャンしてデータ化する方法

      2017/05/30

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 フィルムカメラで撮影し、店で現像したネガフィルムをスキャンしてデータ化したい方は多いのではないでしょうか。

 しかし、自分でフィルムをスキャンしてキレイにデータ化するのは、プリント写真をデータ化するよりもさらに難しいものです。

 ここでは、自分でネガフィルムやポジフィルムをスキャンしてデータ化する場合の手順などをまとめてみます。

予備知識 ネガフィルムのスキャニングの仕方について

現像しただけのフィルムの写真は完成した仕上がりの写真ではない

 現像しただけのフィルムに記録されている写真は、よほど撮影が上手な人でない限り、完成した仕上がりの写真ではありません。レンジや明るさやコントラストなど完璧な状態にはなっていない場合がほとんどです。

店でプリントする場合、店で技能者が写真を仕上げている

 フィルムやデジカメのデータを店のプリントサービスに出した場合、店の技能者が写真の明るさなどを調整して仕上げてプリントしています。
 撮影したままの写真がプリント結果のようにきれいなわけではないのです。

フィルムをスキャンし、フィルムに記録されているままの写真をデータ化するとどうなるか

 説明しました通り、フィルムに記録されている写真はたいていの場合まだ未完成の写真です。

 これをスキャンし、単純にそのままデータ化すると、暗かったり白っぽかったりイマイチな写真データになります。

フィルムのスキャンは、スキャナーのドライバー・ユーティリティーソフトの自動画像処理を使用するのが無難

 以上の説明から、フィルムのスキャニングはスキャナーのドライバー・ユーティリティーソフトで自動処理するモードで行うのがおすすめです。

 この方法でスキャニングすれば、フィルムに記録されたまだ未完成の写真が、自動処理である程度まともな状態に調整されて画像データ化されます。

フィルムのスキャニングの具体的な手順

 ここから、具体的にスキャニングの手順を説明します。

 なお、ここでの説明はEPSONのスキャナーのドライバー・ユーティリティーソフトを使用しています。他のメーカーのスキャナーをお持ちの方は置き換えてお読みください。

原稿のセット

 スキャナーのガラスと原稿を拭いたり空気でホコリを飛ばしたりします。見た目にホコリが見えなくても、スキャンした画像上ではゴミが大量に見えることがよくあるので、面倒ですが絶対ホコリを取り除いた方がいいです。

 ホコリを取り除いたら原稿をセットします。

※ネガフィルムのセットの仕方はお持ちのスキャナーの説明書をご参照ください。

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原稿をセット

プレビュー

操作「プレビュー」ボタンを押してプレビューします。

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プレビューボタンを押す

 プレビュー画面が表示されます。

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プレビュー画面

もし上図のようなサムネイル表示になっていない場合は、「サムネイル」をクリックします。

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「サムネイル」をクリック

スキャニング設定

 ここではスキャナーのドライバーとユーティリティーソフトで基本的なスキャニングと画像処理をする方法で、手順を説明します。

原稿

 ここでは35mmのネガフィルムをスキャンすると仮定します。

使用するスキャナー

 スキャナーは色々ありますが、今ご自宅にあるフィルムスキャン機能付きの家庭用スキャナーを使用するとします。

スキャン設定

 スキャナーのユーティリティーソフトでスキャニング方法の設定をします。スキャニング時の設定は、以下のようにすると無難です。
(設定画面はEPSONのスキャナーのユーティリティーソフトの例です)

設定 まず、「全自動モード」「ホームモード」「プロフェッショナルモード」などを選べる場合、「ホームモード」を選ぶと無難です。

スキャニング設定画面(EPSON Scanの例)

スキャニング設定画面(EPSON Scanの例)

設定 原稿の種類: ネガフィルム(「ネガフィルム」がなければ「透過原稿」「カラーネガフィルム」など)
 ※普通の写真をスキャンするか、フィルムをスキャンするか、文字だけの書類をスキャンするか、などを選ぶ設定です。普通のカラーネガフィルムをスキャンするので「ネガフィルム」を選びます。

設定 イメージタイプ: カラー
 ※原稿をカラーでスキャンするかグレースケールでスキャンするか線画としてスキャンするかの設定です。カラー写真をスキャンするので「カラー」を選びます。

設定 出力設定: プリンター を選びます。
 ※ご自宅のプリンターで印刷するにも店でプリントするにも「プリンター」を選んでおけば問題ありません。

 ※この設定の内容によって、スキャン解像度が自動で計算され設定されます。

設定 出力サイズ: スキャン後のデータをプリンターで印刷する場合どのくらいのサイズで出力したいか選びます。

※この項目が選べない場合は、一度「プレビュー」ボタンを押してプレビューすると選べるようになります。

説明 一般的なデジカメで撮影した画像と同じくらいのサイズのデータにしたい場合はA3判程度のサイズを選ぶ必要があります。しかし、業務用スキャナーと違い家庭用スキャナーの場合そのくらいの高い解像度でスキャンすると非常に取り込み時間がかかり、多くの枚数をスキャンする場合は現実的ではありません。
 よって、基本的には「L判」を選んでデータ化し、大きくプリントしたい写真があるときだけあらためて「A3判」などでスキャンするのが良いと思われます。

出力サイズとトリミングについて

 出力サイズにL判を選ぶと、プレビュー画面のサムネイルは下図のように表示されます。
 点線で囲まれたスキャニングされる範囲が、フィルムに記録されている写真より小さくなっています。

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ブレピュー画面のサムネイル

 これはL判の縦横比とフィルムの縦横比が異なるためです。
 このように端をトリミングするので写真の端がきれいになります。

 どうしてもフィルムに焼き付いている写真の幅いっぱいにスキャニングしたい場合は、出力サイズに「ユーザー定義サイズ」で新たなサイズを追加する必要があります。

操作 出力サイズで「ユーザー定義サイズ」を選びます。

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出力サイズで「ユーザー定義サイズ」を選ぶ

 例えば、L判より幅を少し広げたサイズを追加します。

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出力サイズを追加する

 出力サイズで、今追加したサイズを選びます。

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出力サイズで、自分で追加したサイズを選ぶ

 その結果、スキャニングされる範囲が横に広がりました。

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スキャニングされる範囲の幅が広がった

設定 解像度: 実際の読み取り解像度は「出力設定」「出力サイズ」の設定で自動的に計算されるのでそのままでいいです。

設定 画質調整:
 ・逆光補正:チェックを外した方がいいです。
 ・ホコリ除去:お好み次第でチェックします。
 ・退色復元:チェックを外した方がいいです。

説明
※スキャン後の画像データに手動で補正を行う場合は、「逆光補正」「退色復元」などはチェックを外しておいた方が良いです。
※スキャン後の画像データを補正する予定がなく、すべてスキャナードライバーの自動処理に任せて完成とする場合は、「逆光補正」「退色復元」なども試しに入れてみて、いい仕上がりになるようなら入れても良いと思います。

設定 明るさ調整: 何もしない方がいいです。

スキャニング設定画面 明るさ調整(EPSON Scanの例)

スキャニング設定画面 明るさ調整(EPSON Scanの例)

設定 色補正: 「環境設定」などどこかに色補正に関する設定があるので、「ドライバーによる色補正」を選びます。設定値は初期設定値でいいです。

スキャニング設定画面 色補正(EPSON Scanの例)

スキャニング設定画面 色補正(EPSON Scanの例)

設定 保存ファイルの設定:
 ・データ保存後に加工をしないといい写真にならないので、データの保存形式の設定はのちに加工を加えることを考え、TIFが無難です。
 ※JPEGで保存してしまうと、後でデータを開いて加工後に保存することで劣化してしまいます。

 ※もし、スキャニング後の画像処理は行わず、スキャンしたままの写真データをそのまま保管する、という場合は容量節約のためにJPGを選ぶというのも選択肢の一つです。

TIF保存の詳細設定

TIF保存の詳細設定

設定 ICCプロファイル埋め込み: ONにします。

スキャニング設定画面 保存形式(EPSON Scanの例)

スキャニング設定画面 保存形式(EPSON Scanの例)

スキャン

操作 スキャニングスタートします。

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スキャンボタンを押してスキャニングをスタート

 これでカラープロファイルが埋め込まれたTIF画像が完成します。カラープロファイルが埋め込まれていることにより色が確定しています。

とりあえず完成

 以上の手順で、とりあえずフィルムの写真がデータ化されました。

スキャナーのドライバー・ユーティリティーソフトでスキャンしたままの写真は完成した写真とは言えない

 スキャナーのドライバー・ユーティリティーソフトでスキャンしたままの写真はまだ完成した仕上がりのデータとは言えません。
 レンジや明るさ・コントラストなどの写真に関する各種の調整がパソコンのソフトによって自動で行われただけだからです。スキャナーのドライバー・ユーティリティーソフトの能力だけで良い写真に仕上げるのは難しいです。

店で写真をプリントする場合は人による確認・調整が施される

 フィルムやデジカメのデータを店のプリントサービスに出した場合、店では技能者が確認や調整を施した上でプリントしています。
 自宅のスキャナーでスキャンしっぱなしのデータは、この人による確認・調整にあたる作業が入っていません。その分仕上がりが不十分なのです。

スキャナーのドライバー・ユーティリティーソフトの自動処理以上の仕上がりにするには

 スキャナーのドライバー・ユーティリティーソフトの自動処理で足りない分を補い、完成した仕上がりの写真データにするには、手動で画像処理を施す必要があります。

スキャン後の写真データの画像処理

 きれいな写真に仕上げるには、スキャンしたデータを開いて最低限以下の作業が必要です。

  1. レンジの調整
  2. 色かぶりをとる

 この処理は、「Adobe® Photoshop® Elements」「Corel® PaintShop Pro」などの画像処理ソフトを使用して行います。

画像編集ソフトの例

当ブログ参考記事

大量の写真フィルムをスキャンする場合

 若干の本数のフィルムをスキャンする場合は、以上の説明の要領でデータ化することができます。

 一方、今までに撮りためた大量のフィルムをスキャンするというような場合は、尋常でないほどの時間がかかる可能性があります。
 試しにフィルムを1〜2本スキャンしてデータ化してみて、フィルム1本あたりのデータ化に要する時間を計ってみます。その結果をもとにこれからスキャンしようとしている大量のフィルムのデータ化に必要な時間を計算してみると、非現実的なほど長い時間が必要であることが分かるのではないでしょうか。

 よって、大量のフィルムをスキャンする場合は、フィルムのスキャニングサービスを行っている店に依頼するのが現実的な方法です。

写真フィルムのスキャニングサービスの例

写真フィルムのスキャニングの場合

プリントした紙焼き写真のスキャニングの場合

 以上、自分でネガフィルムやポジフィルムをスキャンしてデータ化する場合の手順をご紹介しました。

当ブログ参考記事

当事務所のフォトレタッチサービス

 スキャン後の写真データをご自分でレタッチしきれない場合は、ご依頼いただけると幸いです。
フォトレタッチサービス

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スキャニング関連の本

写真の本

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